不動産を相続したら名義変更が必要!自分で手続きする方法も!

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不動産を相続した場合は、相続した不動産の名義変更が必要となります。相続した不動産の名義変更には、遺産分割や面倒な書類などが必要となりますので、困る人も多いのです。すでに、そのような経験をした人もいるのではないでしょうか。

今回は、不動産相続の名義変更について、自らが手続きする方法やプロフェショナルに任せるケースなどを解説します。この記事を読めば、不動産相続の名義変更の知識を深めることができるでしょう。

 

相続による不動産の名義変更は相続登記

相続による不動産の名義変更は相続登記

相続した不動産の名義変更のことを相続登記といいます。相続登記は、不動産を相続した人が行わなければならない義務ではなく任意の手続きです。ここでは相続登記やその特徴を説明し、相続登記を行わない場合のデメリットなどを解説します。

 

相続登記とは

相続登記とは、被相続人から相続した不動産の登記名義を相続人へと変更することです。法律上では不動産の場合、土地と建物は別のものと考えます。原則として登記も別々になっていますので、土地と建物を相続した場合は、個々に手続きする必要があります。 相続登記の手続きには登録免許税を納める必要があります。相続登記の場合の登録免許税は、土地と建物ともに課税標準額(固定資産税評価額)の0.4%です。

相続登記が完了すれば、その不動産が自分のものであることが証明できます。相続登記完了の証として、登記識別情報を取得する際に、登記事項証明書を取得すると良いでしょう。第三者に対しても相続した不動産が自分のものであると主張できる根拠になります。

 

相続登記には期限も罰則もない

相続登記は、任意の手続きであり、相続した不動産が自分のものであることを証明するために行うものです。従って、相続登記をしなくても罰則がなければ、相続登記の期限もありません。

 

相続登記をしないデメリット

民法177条には「不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない」とあります。つまり、相続登記をしていなければ、以下のようなデメリットがあるのです。

  • 相続した不動産の処分が不可能。
  • 相続した不動産を運用することができない。
  • 相続した不動産を担保にした融資が受けられない。
  • 自分が被相続人となった場合、遺産分割トラブルになる可能性が高くなる。
  • 次の代で相続登記しようとした際に手続きが複雑になる 。

相続した不動産であっても、所有者が自分であることが証明できなければ、処分することもできないし、貸し出すこともできません。また、自分の次の世代でのトラブルの種となる可能性を高めますので、相続登記は速やかに済ませておくと良いでしょう。

 

不動産を遺産分割する4つの方法

不動産を遺産分割する4つの方法

複数の相続人がいる場合は、遺産を分割しなければなりません。遺産分割は、法定相続・遺言書・遺産分割協議においてなされますが、分割方法は、以下の4つになります。

  • 現物分割
  • 代償分割
  • 換価分割
  • 共有分割

ここでは、4つの分割方法の紹介と不動産相続に適用する場合の注意点なども含めて解説します。

 

現物分割

現物分割は、遺産を種類ごとに分けて分割する方法です。例えば、3つの遺産があって、自宅は配偶者で賃貸物件は長男、次男は現預金を相続と決めるのが現物分割となります。シンプルで手続きが簡単なのが特徴です。

現物分割は、遺産のほとんどが1つの不動産といった場合には不向きとなります。不動産の価値に相当する不動産以外の遺産がなければ、誰が不動産を相続するかで揉めることになるかもしれません

 

代償分割

代償分割とは、1人の相続人が大きな遺産を相続し、代償として他の相続人に金銭を渡す方法です。例えば、相続税の評価が1億円の絵画を配偶者が相続するとして、配偶者が、長男と次男にそれぞれ2,500万円を手渡すとします。長男と次男は法定相続分を代償されるので問題が起こりにくくなるでしょう。このような分割方法が代償分割です。

代償相続は、不動産相続の場合に適用されることが多い分割方法です。不動産を相続する相続人が他の相続人に代償分を支払えば、円滑に遺産を分割できる可能性が高くなります。ただし、不動産を相続する相続人が現金を用意することと、贈与税対策として遺産分割協議書に、代償相続したことを明確に記載することが注意点となります。

 

換価分割

換価分割は、現金以外の遺産を売却して得た利益を分割する方法です。例えば、市場価値が1億円の絵画のみが遺産とします。配偶者、長年、次男で分割することが難しいので売却すれば、配偶者が5,000万円、長男次男はそれぞれ2,500万円を相続するとこができます。このような分割方法が換価分割なのです。

不動産を換価分割する場合も絵画と同様です。ただし、不動産を売却した場合は、譲渡所得税が課税されます。譲渡所得税は、相続割合に応じて課せられます。また、相続税も基礎控除を超えていたら課せられますので注意しましょう。また、不動産を売却する際は、相続登記の必要があります。遺産分割協議書には、換価分割の明記と相続登記が換価分割のためであることを明記するようにしてください。

 

共有分割

共有分割とは、1つの遺産を共有名義にして相続する方法です。不動産や高級車など分割しにくい遺産の相続に適用される方法となっています。平等に相続できて、揉め事が起こりにくい簡単な方法と思われがちですが、後々のトラブルの種となることが多い分割方法でもあるのです。

不動産を共有分割にした場合のデメリットとは以下のようになります。

  • 自用物件の場合、誰が住むのか共有者全員で話し合って全員の同意を得なければならない。
  • 賃貸物件の場合は、共有者全員の同意がなければ管理や運営ができない。
  • 自用、賃貸に限らず、不動産の売却、建築、取り壊しなどを行う際に、共有者全員の同意が必要である。
  • 共有者の1人が死亡するとその持分が次の相続人に引き継がれるため、時間の経過とともに共有者が増加する可能性が高い。
  • 共有者が増加すると共有者全員の同意を得るのが難しくなる。

不動産の共有分割には、以上のようなデメリットがありますので、分割方法としては、最終手段であると認識する方が良いでしょう。

 

相続登記(不動産の名義変更)を自分でする方法

相続登記(不動産の名義変更)を自分でする方法

一般的に不動産の名義を変えるだけでは、不動産の名義変更といいますが、相続により不動産の名義を変更する場合は相続登記といいます。手続きや書類が複雑とされていて司法書士に依頼するケースも多いのですが、流れを掴んでいれば、相続登記について理解を深めれば、自分で手続きを行うことも可能です。

 

相続登記について調べる

相続登記を自分で行う場合は、相続登記について本やインターネットなどで調べてみると良いでしょう。概要や流れを掴んでいれば2度手間3度手間にならずに済むかも可能性が高くなります。法務局に直接行って、相談するというのも1つの手段です。

 

被相続人の戸籍関係の書類を取得

相続登記の添付書類の中で、被相続人の戸籍関係の書類は複雑とされています。原則として被相続人が生まれた時から死ぬまでの間の全ての情報が必要となります。また、遺産相続方法によっては、必要な書類が異なりますので、入念に下調べておくと良いでしょう。

 

相続人の戸籍関係の書類を取得

被相続人の戸籍関係の書類ほどではありませんが、相続人の戸籍関係の書類も複雑です。遺産相続の方法によっては、必要な書類が異なりますので、下調べしてから取得しましょう。これらの書類を含む全ての書類に1つでも不備があれば相続登記を進めることができませんので、細心の注意が必要となります。

 

遺産分割協議書を作成

複数の相続人がいる場合は遺産分割協議が必要となります。相続人全員の合意を得ることができれば、遺産分割協議書を作成します。遺産分割協議書には、相続人全員分の署名と実印の押印が必要です。未成年の相続人がいる場合は、特別代理人を家庭裁判所で選任してもらわなければなりません。遺産分割協議書の添付書類として、すべての相続人の印鑑証明書が必要となります。

 

固定資産税評価証明書を取得

相続登記を含め不動産の名義変更を行う際には、登録免許税を納めなければなりません。登録免許税を算出するためには、課税標準額が必要となります。不動産の場合課税標準額は固定資産税評価額となりますので、固定資産税評価証明書を取得する必要があるのです。

相続する不動産が土地と建物でしたら、土地と建物それぞれの固定資産税評価証明書が必要となりますので注意してください。なお、固定資産税評価証明書は、その不動産が所在する市区町村役場で取得することができます。

 

登記申請書を作成し申請し登録免許税を納める

相続登記に限らず、不動産の名義変更を行う際には登記申請書が必要となります。登記申請書は、登記申請する理由によって25種類ありますので間違えないように取得しましょう。記載に間違いがあっても受理されませんので、必要な印鑑などは持って申請に行くと良いでしょう。

相続登記申請時に登録免許税を納めることになるのですが、登録免許税は、原則として現金で納付することになっています。ただし、登録免許税の額が3万円以下の場合は、その額に相当する収入印紙を貼り付けて申請することも認められています。登記申請書について詳しく知りたい方は下記の法務局ホームページを確認してください。

法務局:不動産登記の申請書様式について

http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/minji79.html

 

登記識別情報を得る

相続登記の手続きをすると1週間程度で相続登記が完了し、登記識別情報を得ることができます。登記が完了していることを知りたい人は、登記事項証明書を発行してもらえば確認できます。自分で相続登記することは、想定よりも難しいことが多いので、難しいと判断したら相続登記のプロフェッショナルに任せることも視野に入れておくと良いでしょう。

以下の記事では、相続登記に必要な書類を詳細に解説していますので、ぜひ参考にしてください。

不動産の相続登記に必要な書類とは?相続方法によって違いが!

http://sozoku-susume.com/2021/01/07/required-documents-2/

 

共有名義の不動産を相続した場合

共有名義の不動産を相続した場合

すでに、共有名義となっている不動産を相続することがあるかもしれません。共有名義となっている理由としては、自分の相続前の相続で共有分割した場合や共同資金で不動産を取得した場合などが挙げられます。ここでは、共有名義の不動産を相続したケースについて解説します。

 

共有名義とは

共有名義とは、1つの不動産を複数名で登記することです。不動産を取得する際の出資分や相続分などによって所有持分は変わってきます。共有持分は、権利上のものであって、物理的なものではありません。

例えば、相続税評価額1億円の10階建てマンションを配偶者と子2人で相続したとします。この場合、1階から5階が配偶者で、6~10階を子2人で分けるとはなりません。権利上のものなので、5,000万円分が配偶者で、子はそれぞれ2,500万円分ずつが持分となるのです。

 

共有名義の不動産相続でも相続登記が必要

共有名義の不動産を相続した場合でも相続登記が必要です。相続登記しなければ、前途したデメリットを負うことになり、他の共有者にも迷惑をかけることになります。遺産分割は、共有分をさらに細かく分割してはデメリットが増えるので、1人の相続人が相続するほうが望ましいでしょう。分割方法が決まれば、速やかに相続登記の手続を済ませると揉め事の種が1つ減ります。

相続登記後は、他の共有者に持分を買い取ってもらう方向か、自分が他の共有者の持分を買い取る方針を立てて話をすすめると良いでしょう。1つの不動産に対して、名義人は1名であるほうが、トラブルが少なくて不動産運用の手続きも簡素ですみます。

 

相続登記(不動産の名義変更)のプロは司法書士

相続登記(不動産の名義変更)のプロは司法書士

相続登記を含む不動産の名義変更のプロフェッショナルは司法書士です。相続登記は、被相続人の戸籍関係を始めとする複雑な書類が多く、手続きに手間がかかるので、相続登記を依頼する人も少なくありません。具体的には、忙しくて自分で手続ができない人、権利関係が入り組んでいる不動産を相続した人などが司法書士に依頼する傾向となっています。

 

司法書士とは

司法書士は国家資格であり、法律に基づいて、登記・供託・訴訟などの法律事務を行う専門家です。法務大臣から認定を受けた司法書士は、簡易裁判所が管轄する民事事件を本人に代わって行うこともできます。具体的には、他者から依頼を受けて、法務局や裁判所、検察庁に提出する書類を作成したり、登記手続きを代理したりして行うなどの仕事をします。

不動産相続において、司法書士が関連する業務は、不動産の登記に関する業務や遺言関連、相続放棄などの申立書の作成などです。もちろん、相続登記の手続も本人に代わって行うことができます。ただし、相続税に関することのプロフェッショナルは税理士で、相続全般と相続時のトラブル解決のプロフェッショナルは、弁護士となります。

 

司法書士に名義変更を任せるとどうなるのか

司法書士に相続登記を任せると、相続登記の申請を行う上で、必要な書類を全て揃えてくれて、申請も代行してくれます。つまり、委任の手続きをして、報酬を支払えば何もしなくて良いのです。また、相続登記に必要な相続人の調査、遺産分割協議書の作成を行います。

さらに、相続人に未成年がいる場合の特別代理人の選任申立や不在者の財産管理人の選定申立、相続放棄、遺産分割調停の申立などに必要となる書類も作成可能です。

 

司法書士に任せるときの費用相場

司法書士に相続登記を任せる場合の費用は、登記申請の報酬と実費に分かれます。登記申請の報酬は、不動産の固定資産税評価額によって変わるのが一般的です。評価額が3,000万円までなら7万円~10万円、3,000万円~5,000万円までなら10万円~12万円で5,000万円を超えるようだと12万円以上が相場となっています。司法書士によってはこの金額で遺産分割協議書まで作成してくれる場合もあります。

実費は、登録免許税と調査、書類を取得する費用です。主なものは以下のようになります。

  • 登記簿の調査:不動産1物件600円
  • 固定資産税評価額の調査:不動産1物件300円
  • 戸籍謄本や印鑑証明書など必要書類:書類1通につき300から700円
  • 登録免許税:不動産固定資産評価額の4%

これ以外に相続に関する手続きや書類作成などを依頼すると別途の報酬を請求されるかもしれませんので、依頼する前に確認しておくと良いでしょう。

 

不動産相続の名義変更は正確かつ迅速に

不動産相続の名義変更は正確かつ迅速に

ここまで、不動産の名義変更に関することで相続登記そのものから、相続登記を自分でする方法を通して流れを説明し、遺産分割方法や司法書士に依頼する場合などを解説してきました。

不動産を相続したのであれば、名義変更は正確かつ迅速に行いましょう。ペナルティが無いからと放置しておいて良いことは何もありません。他の相続人や次の代に迷惑を書けるだけです。

相続登記で悩んでいるのなら、司法書士に相談したり、依頼したりすると良いでしょう。また、この「相続対策のすゝめ」も活用してください。不動産相続に関しても多くの記事を掲載していますので、きっとお役に立てるでしょう。

【記事監修】高野友樹

株式会社アーキバンク取締役COO/不動産コンサルティングマスター/宅地建物取引士

不動産会社にて2,000件以上の賃貸売買仲介に関わり、6,000戸の収益物件の管理業務を経験した後、年間で36.9万平米を超える賃貸契約面積を獲得している国内有数の不動産ファンドであるGLR(ジーエルアールインベストメント株式会社)にてAM事業部のマネージャーとして従事。

大規模物件の売買仲介を中心に、投資家へのコンサルティング業務を行い、100億円規模の物件の取引に携わる。2019年より株式会社アーキバンクに参画し、不動産事業部統括責任者として取締役に就任。

不動産投資家の所有物件の買い替えによる資産整理や遺産相続など、その経験と知識を生かしたコンサルティング業務を行っている。

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